「食品のみ消費税を0%にする」という政策で国民は本当に救われるのかな...

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夏の参議院選挙を前に消費税減税について議論されているよね。国民の多くの方が関心のあることだと思うけど、意見のひとつとして挙がっている食品の消費税を0%にすることについて考察してみたよ。メリットはみんなよくわかっていると思うから、今回はデメリットについて一緒に考えてみよう^^

◆ 食品のみ消費税を0%にすることの主なデメリット

1. 税収の大幅な減少

  • 消費税は日本の基幹税であり、特に社会保障財源として重要な役割を果たしています。
  • 食品関連の消費は全体の消費の大きな割合を占めており、そこをゼロにすると数兆円規模の税収減が生じると予想されます。
  • これにより、財政の悪化や他の増税・支出削減の必要が生まれる可能性があります。

2. 制度の複雑化と運用コストの増大

  • 既に軽減税率(8%)が導入されており、現場(特に小売業)では区別が煩雑になっています。
  • 0%にすることでさらに「対象品目の線引き」が困難になり、事業者の経理負担・システム改修コストが増加します。
    • 例:みりん、菓子、健康食品、栄養ドリンクなどは「食品」に含まれるのか?

3. 高所得層も恩恵を受ける「逆進性の補正効果」が限定的

  • 食品税率の引き下げはすべての人に平等に恩恵があるため、支出額が多い高所得者ほど得をする構造になります。
  • 結果として、低所得層への支援という政策目的からは効率が悪いとされます。
    • ※所得に応じた給付(給付付き税額控除など)の方が公平という意見もあります。

4. インボイス制度との整合性の問題

  • 2023年に始まったインボイス制度では、税率の明確な記載が求められており、「0%対象品目」の定義が曖昧だと制度の混乱を招く恐れがあります。

5. 物価への影響が一時的にとどまる可能性

  • 減税による物価抑制効果は、円安や輸入物価高など他の要因に打ち消される可能性があり、永続的な効果は限定的という見方もあります。

◆ 補足:他の代替案との比較

  • 給付金や減税(所得税・住民税):ターゲットを絞りやすく、逆進性の是正に効果的。
  • 消費税の一律引き下げ:制度は単純だが、税収への影響はより大きくなる。

◆まとめ1

食品の消費税を0%にする案は、家計支援の即効性はあるものの、

  • 税収減・制度の複雑化
  • 恩恵の不公平性
  • 財政健全化の妨げ

といった点で慎重な検討が必要な政策といえます。

また、「食品のみ消費税0%」という政策が実施された場合、**飲食業界(外食産業)には次のような影響(主にデメリットが大きい)**が考えられます。


◆ 飲食業界への主な影響

1. 外食と中食・内食の税率差が拡大 → 消費者の行動が変化

  • 現在の制度では
    • 外食:10%
    • テイクアウト・中食(コンビニ弁当など):8%(軽減税率)
  • 仮に食品が0%になると、中食・内食(スーパー、コンビニ、弁当など)と外食の差が10ポイントになります。

👉 外食が割高に感じられ、家庭内調理やテイクアウトに流れる傾向が強まると考えられます。
👉 これは特に価格に敏感な消費者層で顕著で、飲食店の売上減少につながる懸念があります。


2. 税制の不公平感・競争環境の悪化

  • 外食は「食品を提供する」という点で本質的には同じ商品を扱っているにもかかわらず、
    • 外食:消費税10%
    • スーパーの総菜:消費税0%(新制度)

👉 競争条件に不平等が生じるという不満が、飲食業界から強く出る可能性があります。
👉 特に中小・個人経営の飲食店は価格転嫁が難しく、経営が苦しくなるおそれがあります。


3. 制度の線引きがさらに複雑になる

  • 例えば「店内飲食」と「持ち帰り」の線引きが今以上に厳しくチェックされるようになるかもしれません。
  • 現在でも店員さんが「店内ですか?お持ち帰りですか?」と確認していますが、 👉 これが「0%か10%か」という税率の差が大きくなることで、現場の対応負担・トラブルリスクが増える可能性があります。

4. 人手不足へのさらなる影響

  • コスト上昇に対して売上が減ることで、人件費を抑制せざるを得ない飲食店も出てくるでしょう。 👉 結果として、既に深刻な人手不足が悪化する恐れがあります。

◆ 一部には追い風となる可能性も

  • デリバリーやテイクアウトに注力している事業者は、0%対象になる食品販売を拡大できる可能性もあります。
  • たとえば「レトルト商品を店頭・ネットで販売する」など、飲食+物販のハイブリッド展開にはチャンスがあるとも言えます。

◆まとめ2:飲食業界にとっての影響

項目影響
消費行動の変化家庭内消費・中食へのシフト → 外食需要の減少
競争の不公平同じ「食事」でも税率が異なり不利
業務負担税率判定・レジ処理の手間が増える
経営圧迫利益率の低下、人件費削減の圧力
一部の業態は好機テイクアウト・食品物販型飲食店は追い風

そして、飲食業の消費税の納付・経理への影響については以下のような点が予想されます。


◆ 飲食業における消費税納付への影響

1. 課税売上割合が下がり、仕入税額控除に影響

  • 食品の仕入れ(例:米、野菜、肉、調味料など)には仕入時に消費税がかかるため、事業者はこれを**「仕入税額控除」**として差し引いて納税額を計算します。

👉 ところが、売上のうち「食品販売部分(物販など)」が非課税(0%)になると、その部分に対応する仕入税額は控除できなくなります。

■ 具体例(簡略化)

  • 売上:1,000万円(うち800万円が食品販売=非課税)
  • 仕入:600万円(すべて課税仕入)
    → 本来なら仕入分の消費税を売上分から引けますが、「非課税売上」に対応する部分の控除はできない=控除割合が減る

📌 結果:実質的に納税額が増える可能性もあります。


2. 区分記載・帳簿管理がさらに複雑に

  • インボイス制度(2023年導入)では、「売上ごとに税率・区分の記載」が義務づけられています。

👉 食品が0%となると、同じ飲食店の中でも

  • 店内飲食:10%
  • テイクアウト食品:0%(新制度)
  • 酒類や調味料など:従来通り課税対象

など、売上が複数税率・課税区分に分かれるため、以下の点で負担が増します。

  • 会計ソフトやPOSシステムの対応
  • レシート・請求書の税率表示の精度
  • 月次・年次の仕訳・仕入控除計算

特に小規模事業者や家族経営の飲食店では、経理業務にかかる手間やミスのリスクが高まります。


3. 簡易課税制度を利用する事業者への影響

  • 飲食業では売上高5,000万円以下の事業者が簡易課税制度を使うことがあります(みなし仕入率60%)。
  • この制度は売上が「課税対象」であることを前提に計算するため、非課税売上が増えると適用条件・計算方法が変わる可能性があります。

👉 たとえば、売上の大半が食品物販となり非課税になると、簡易課税制度が適用できないことも。


4. 免税事業者の立場にも影響

  • 年商1,000万円以下の免税事業者(インボイス登録していない事業者)も、今後は
    • 仕入税額控除の恩恵を受けづらくなる
    • 消費者から見て「税率に差がある=選ばれにくい」

といった競争上の不利が拡大する可能性があります。


◆ まとめ3:納税面での影響(表)

項目内容影響の方向
仕入税額控除非課税売上分は控除できず🔺 納税額が増える可能性
経理・帳簿管理区分記載・税率分離の手間🔺 業務負担が増大
簡易課税制度適用制限の可能性🔺 不利になる場合あり
免税事業者税率差で不利に🔺 競争環境の悪化

◆ 対策として考えられること

  • 会計ソフトの早期対応(クラウド型など)
  • 仕入と売上の区分管理を日常業務で習慣化
  • 税理士との連携を強める
  • 場合によっては課税・免税選択を見直す

政策にはどれも一長一短があり、特に税制は「誰をどのくらい支援するのか」と「社会全体の公平・持続性」を両立させることが難しいよね。今回のような議論は、国民一人ひとりがメリット・デメリットを知って考えることがとても大切だね。

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